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夏のぬけがら
-1989年発表-
夏のぬけがら

夏が来て僕等
クレヨン
さよならビリー・ザ・キッド
風のオートバイ
子犬のプルー
地球の一番はげた場所
オートバイ
アンダルシアに憧れて
花小金井ブレイクダウン
カローラに乗って
夕焼け多摩川
ルーレット





ブルーハーツの3rdアルバム「TRAIN TRAIN」がTVドラマの主題歌として話題となり
ミーハーなファンが増え、時代がバンドブームのピークを迎えた当時、
ブルーハーツは逆らうように無期限の休養期間に入り
マーシーの初のソロ作品であるこのアルバムが生み出されました。
大半のファンの予想を最高の形で裏切り穏やかなアコースティックなアルバムで
発売を待ち構えていた自分もヒザカックンを喰らったような感触で聴いた記憶があります。
聴けば聴くほどに寂しさをやさしさでくるんだような世界観に引き込まれて
今日までの人生に多大な影響を与えた自分にとってとても重要な一枚です。
「ルーレット」はアイワのラジカセのCMに使われていました。
「カローラに乗って」はトヨタのコマーシャルには使われていません(笑)


夏が来て僕等 
/作詞 作曲 真島昌利
クレヨン 
/作詞 作曲 真島昌利

夏が来て僕等 アイスクリーム食べて笑った
木に登り僕等 何回目の夏か数えた

うばわれた声に耳を澄まし
自転車で知らない街まで
終わりなき午後の冒険者は
夏に疲れるなんてそれはとても罪な事

夏が来て僕等 高校野球なんて見ないで
夏草にのびた 給水棟の影を見ていた

裸足ならもっとよかったけど
宿題は机でまってる
誰かがピアノを弾いているよ
みんな誰もが秘密をもつ
汗ばんだ季節だ

八時半広場に集まろう
花火ならたくさん持ってる
スリルあるやつやきれいなやつ
今夜部屋から抜け出してさ
森を見に行こう

夏が来て僕等 成長のドアを足であけた


線をひいたら それをまるめて
ギザギザにしてまたはじめから
ミイラのようにひからびてゆく
時のかけらをちりばめましょう

そしてお気に入りの色をサラサラ広げてく
何も考えず何もこだわらずに
描けたらいいのになクレヨン

自由に描いてみようとすれば
なんだか妙に不自由な線
ザラッと白い画用紙の上
いつかどこかで見たような線

そんな宙づりの心でフラフラ揺れている
転げまわるように はがれ落ちるように
描けたらいいのになクレヨン

そしてお気に入りの色をサラサラ広げてく
何も考えず何もこだわらずに
描けたらいいのになクレヨン
さよならビリー・ザ・キッド
/作詞 作曲 真島昌利
風のオートバイ
/作詞 作曲 真島昌利

21で結婚して 27でもう疲れて
夢のかけらさえ投げ出し 惰性で時を過ごしてる
ぬけがらのようにうつろで 話題は過去に流れてく
君はふせ目がちになって 他人の人生をうらやむ

何が君におこったんだ 何かが君をケッ飛ばした
君がとてもすけてみえる 消えてしまいそうなほどだ

ワナにはめられたみたいだ 生活にクビをしめられ
やり場所のないいらだちが 毎晩オレ責めたてる
今度子供が生まれるよ それでもうオレも終わりさ
力なく笑う君には 反逆者のカゲすらない

授業を抜け出して2人 バスに飛び乗った
有刺鉄線を乗り越え 夜と手を組んだ
ギターで世界にはむかい 痛い目も見たよ
くだらない事でいつでも 僕を笑わせた
誰も見ていやしないのに 孤独なビリーザキッドを
真面目な顔で演じてた 君をおぼえてる

国立の6月の雨 バス停のわきの木の下
君はぼんやりと立ってた 僕らはそこで別れたよ

君はサヨナラと言った 僕は君の背中を見た
僕は君の背中を見た その上に降る雨を見た


嵐の中で抱き合って
これが最後じゃないのかと
いつもそんなせつなさで
ぎりぎりのキスをしよう

錨をを上げて帆を張って
冷たい雨にうたれても
夢がついに破れても
この旅は終わらないよ

だからもう涙をふいて
だからもう怖がらないで
よく見てみればわかる
たいしたことでもねぇ

消えてゆくのはまぼろしか
なにかとても大切な
忘れ物をしたような
この気持ちくすぶってる

どこにも落ち着かないで
どこにもたどり着かない
風のオートバイに乗って
虹の彼方までさぁ
小犬のプルー
/作詞 林権三郎 作曲 柳沢剛 編曲 白井幹夫
地球の一番はげた場所
/作詞 作曲 友部正人

一人ポッチの僕が
プルーと会ったのは
夏の終わりの北の街
僕を見るなりかけてきて
やさしい目をしてついてきた

一人ポッチの僕と
プルーが眠る頃
お前の体に吹き付ける
冷たい風が気がかりで
眠れぬ夜もあったのさ

一人ポッチの僕と
プルーが別れたのは
悲しい目をした日暮れ時
誰かにオマエをたのめたら
今また会いに行けたのに

栗毛色した小犬のプルー
行方もしれない
僕のプルー


僕と君がすわってたのは 地球の一番はげた場所
体育館のような台所に 君があの朝いけたバラ

風が走り抜けたのは 地球の一番はげた場所
遊んでいたのは風の子供達
やじるしの帽子をかぶっていた

石油ストーブで旅をしたのは 地球の一番はげた場所
僕らは古新聞を指揮棒にして 冬の星座にうたわせた

うぐいすの声をきいたのは 地球の一番はげた場所
君のバスケットボールのゴールの中に
僕は春の花を差し込んだ

見知らぬ男の事を知ったのは 地球の一番はげた場所
君は顔から影になり 僕を夕闇の中に置き去りにした

僕が今でも思うのは 地球の一番はげた場所
体育館のような台所に 君があの朝いけたバラ
オートバイ
/作詞 作曲 真島昌利
アンダルシアに憧れて
/作詞 作曲 真島昌利

人っ子一人いない夜 オートバイが走ってゆく
シートの上はカラッポで誰にもあやつられちゃいない
心を隠してきたんだ 心を隠してきたんだ
オートバイが走っていく ただもう走っていくんだ

爆音を轟かせ エンジン焼けつくまで
走り続けるよ 遠い道の上

一時停止も気にしない 赤信号も気にしない
走るために生まれてきて 風とともに去っていくよ

ここより他の場所へ ここより他の場所へ
憧れの場所へ きっといけるはず

夜明け前の交差点でゆっくりと翼を広げ
一人ボッチのオートバイ 流れ星になっていくよ
一人ボッチのオートバイ 忘れられない夢を見たよ

アンダルシアに憧れて バラをくわえて踊ってる
地下の酒場のカルメンと 今夜メトロでランデブー
ダークなスーツに着替えて ボルサリーノをイキにきめ
いかす靴をはいたときに 電話がオレを呼び止めた

受話器の向こう側でボス 声を震わせながらボス
やばい事になっちまった トニーの奴がしくじった
スタッガーリーは言うのさ 今夜港で決着を
立ち入り禁止の波止場の 第3倉庫に8時半

誰か彼女に伝えてくれよ 
ホームのはじで待ってるはずさ
ちょっと遅れるかもしれないけれど 
必ず行くからそこで待ってろよ

額縁の裏の金庫に かくしたコルトを取り出す
俺の手が震えてるのは 何も恐いわけじゃないさ
コルトはオレのパスポート 黒くて硬いパスポート
スタッガーリーの頭に こいつをブチ込んでやるさ

タクシーで港に着くと ボス達は青ざめていた
怪しい気配に気づくと オレ達は囲まれていた
暗闇からマシンガンが あざけるように火を吹いた
ボルサリーノははじけ飛び コンクリートにキスをした

激しい痛みが体を 電光石火につらぬき
はみだし者の赤い血が カラッポの世界を染める
うすれていく意識のなか オレはカルメンと踊った
アンダルシアの青い空 グラナダの詩が聞こえた

花小金井ブレイクダウン
/作詞 作曲 真島昌利
カローラに乗って
/作詞 作曲 真島昌利

洋服着た犬連れて オバサンが歩いてく
すました顔厚化粧 オバサンが歩いてく
洋服着た犬はどうも好きになれない

沈丁花の香る道 紙袋舞い上がり
煙草買えば販売機 ありがとうと言ってた
どうもと答えながら 少し淋しくなった

タクシー会社の裏で 
夏はうずくまってた
生ぬるいビール飲んで
春はよっぱらってた

オートバイでツーリング 突然空が泣いた
君も僕もビショぬれで おたがいを笑ったよ
次の日のアルバイト 2人共休んでた

ひどく遠くはなれてる
ひどく遠くはなれてる


カローラに乗っていこうよ 1400の4ドアさ
カローラに乗っていこうよ FENでヒットパレード
カローラに乗っていこうよ 夜が君の顔をしてる
隣りのシートで寝てる リクライニングでねてる

ボクの想像のなかではとても
やさしい君なのにホントはいじわるばかり
なんだか悲しくなるなぁ

日野橋をわたる時に 君を揺り起こしてあげる
多摩ニュータウンがみえる 僕の友達が住んでた

カローラに乗っていこうよ 夜がねがえりをうってる
カローラに乗っていこうよ どこへ行くあてもないけど
夕焼け多摩川
/作詞 作曲 真島昌利
ルーレット
/作詞 作曲 真島昌利

ケーキは欲しくない 甘くて今は
それよりもウーロン茶 ノドがかわいた
誰かが歌ってる 時代は変わる
それなのにこの場面 以前にも見たよ

知ってる事と知らない事のまんなかで
川は流れていく変わっていく
何も気にしないで

かわもをわたる風 行くえも知れず
真夏日の夕暮れに 途方にくれる

ビビッたってしょうがない ゲームはもうはじまった
今度はオレの番だから 知らぬ振りはできないよ
オレ達はとても似ていたよ 2人共自由が好きだった
その裏にいつもつきまとう 請求書もワリカンにしてた

ルーレットがまわるように 毎日が過ぎていくんだ
何にどれだけ賭けようか 友達 今がその時だ

一晩中地獄の炎に 焼かれるオマエを夢見てた
辛くてはりさけそうな オマエの痛みを夢見てた
だけど何ができるんだろう オマエを救いだす事など
とてもできるわけがないよ ウソをつきたくはなかった

陽炎が揺れる十字路で 記念写真をとっただろう
白っぽい街がひび割れて 遠くを見てた2人共
もう少しおたがいの事を 利用できるほどタフだったら
オレ達がはなれる理由は 何一つなかったんだろう

移動中の列車のなかで オマエの泣き声を聞いた
ひなびた寒い街角で オマエの笑顔を思い出す